初出 漫画少年 1954年7月号〜1955年5月号(未完)
連載途中で雑誌が廃刊になったため中断した未完の黎明編/オリジナル版です。
遥か昔、南方のある島に住む一族の少年、イザ・ナギは父の命を救う為、山に
住む火の鳥の血を取りに行く。
その血を飲めば三千年生きることが出来るというからだ。
火山の噴火に巻き込まれたナギは、火の鳥の卵を救った事から、お礼にと生き血を
分けて貰うが父の死には間に合わず、血を欲しがる人達の争奪戦の混乱の中、妹の
イザ・ナミと共に、自ら血を飲む事になり、3千年の命を得る。
火の鳥は自分の子が産まれることを知ると、その子を猿のヨタ、亀のノロ、うさぎ
のポポに託し、燃え尽きて死ぬ。
ナギの一族は枯れてしまった大地から豊かな土地を目指して移民を始め、舟で出航
するが、嵐に会い、ナギとナミを乗せる舟ははぐれ、途中出逢った火の鳥の雛と3
匹の動物とともにオノロコ島に流れ着く。
二人は島の一族の襲撃に遭うが不死身の体であることが判ると、島民はナギに”天
照大神”の名をつけ、あがめるようになる。
島の民の一人スサノオは火の鳥の存在を知り、捕獲を企むが失敗し、対岸の国ヤマ
タイ国のヒミコの元へ行き、火の鳥の存在を進言する。
ヒミコは猿田彦率いる軍隊に火の鳥捕獲を命じ、隊は遠征を始める。
途中、ナギを頭としたオノロコ島の一団と遭遇した猿田彦等はヒミコに反旗を翻し
ナギと結託する。
猿田彦の裏切りをヒミコに伝えようとスパイのサソリは隊を抜け出すが途中で火の
鳥と出会い、助ける事になり、ヤマタイ国に火の鳥を持ち帰る。
しかし、サソリはヒミコの命で口封じの為殺される事になり、彼は最後の力で火の
鳥を逃がす。
火の鳥がいなくなったたことにより騒ぎが起きるが、丁度起こった皆既日食に人
々は恐れをなし、ヒミコは天の岩戸に非難する。
この漫画少年版では、主人公のイザ・ナギ、イザ・ナミの二人は始めの方で
火の鳥の血を飲む事になり、3千年の命を得ますが、黎明編の後も、この二人
を主人公に現代まで歴史を辿って行くという構想でした。
後にCOM誌で改めて発表される黎明編に比べると、ずっと児童向けになって
おり、ストーリーもこなれていないと感じられるのは否めません。(^_^;)
大まかな登場人物はそのまま後の黎明編に引き継がれていますが、大きな違い
は主人公のナギ少年が即ち天照でありニニギ尊でもあり、COM版のナギが普
通の少年として描かれているのに対し、漫画少年版ではヒーローとして描か
れていることです。
これはあくまでも私個人の私見ですが、この後、ナギは各時代の歴史的人物を
演じて行く構想を手塚治虫は持っていたのかも知れません。
もしこのまま連載が続いていたら、全く違う『火の鳥』の物語を私たちは知る
ことになったでしょう。
実際には雑誌の廃刊で話はストップしてしまったのですが、再開するまでの15
年の時は物語に更なる深みを与える良い結果をもたらす事にはなった訳です(^_^;)
なおこの漫画少年版は、1〜4回目を再構成したものが月刊マンガ少年1977
年8月号に、6〜8回目を再構成したものが週刊少年マガジン1978年34号に
それぞれ再録されたことがありましたが、角川書店より現在発売中の単行本に付
け加えられているこの『漫画少年版・黎明編』を紹介する1ページは、少年マ
ガジン再録時に際して描かれた物です。
ハード・カバー(角川書店)『火の鳥』12
角川文庫(角川書店)『火の鳥』13
朝日ソノラマコミックス(朝日ソノラマ)『火の鳥』別巻