| 「甜姐兒」 Darling
Girl '57 白黒 字幕なし |
や、やられた!…と言っても、決して途中から“藤山主席”にすり替わったわけではなく、“男役のおばさん”が歌い出したわけでもないのだが、今回のやられ方は名付けて“脇役攻撃”とでも言いましょうか…。いやいや、「細路祥」と「人海孤鴻」の2本以外は、いつでも!どこでも!どんな作品でも!必ずリー先生は“脇役”だったんだけど、それはよおーくわかっているんだけど、でも今回のこの作品は、“脇役”を通り越して、“端役”とか“チョイ役”といった類のほとんど“その他大勢のエキストラ”と大差ない出番の少なさ!画面に写っている時間の短さで言えば、他を圧倒してダントツの第一位に輝くこと受け合いである。
ストップ・ウォッチで計ったわけではないので正確ではないが、わずか1分間くらいの出演時間だった様に感じる。しからずんば、30秒程度だったのか?ちょっとコンタクト・レンズがずれていたりしたら、完全に、永久に見逃してしまう程の出番の少なさであった。
映画のストーリー自体は比較的まともで、気の強〜いおてんば娘(文蘭という、ファッション・センスは滅茶苦茶だけど、容姿は今現在でも充分に通用する程、美しい女優)とヤサ男(当時の二枚目俳優・張瑛)が互いに反発しあいながらも最後は結ばれるといった、よくありがちなラブ・コメディーで、このヒロインの女の子が大変魅力的で可愛い!!
でも'50年代の香港映画に登場する二枚目の男優って、この張瑛にしても、有名な呂奇にしても、どいつもこいつも!結核患者の様に頬がこけていて、幽霊の様に青白い顔色で(白黒であっても、なんとなく青白さは伝わってくるもの)不健康である。金も力もなさそうである。朝礼で、校長先生の話を5分も聞こうもんなら、もう貧血でバッタリ倒れていること受け合い!といった輩たちばかりである。こんな輩に当時の奥さま、お嬢さま方はキャーキャー言ってたのか?
「ど・ワキ役」であるリー先生は、ヒロインのクラス・メートという設定で、ヒロイン達ご一行様が食事をしているレストランに何故か一人で、チンピラっぽく肩をいからせて入ってくる。また大橋巨泉みたいな昔風のメガネをかけており、全身から“軟派・ヤンキー”光線をビンビン発散している。
セリフなんてただのひとっこともありゃしないで、ただヒロインに向かってヒューヒュー♪と口笛を吹く。ヒロインは、“貧血ヤサ男”へのあてつけで、“ナンパ・クラスメート”(リー先生)と2人でダンスを踊る。その店はフロアがダンス・ホールになっているというお洒落なつくりなわけ。
“貧血野郎”のドヘタなへっぴり腰とはエライ違いで、リー先生ときたら、プロ並みの華麗なステップで、蝶のように軽快に舞い、フロア狭しと、狂ったように踊りまくるのであった。その際、“奇声の類”等、音声は聞こえないものの、やはり口がひっきりなしに動いているので、「踊りながら何か言ってるなー」というのは確認できる。
…で、その間わずか1分だか数十秒だかで、場内大乱闘が始まってしまい、その後、もう2度とリー先生は登場しないのである。
「一体全体、いつになったら出るの?」→「あっ、出てきた!」→「…と、思ったら、もう終わり?たったのこれだけ〜〜?!」…てな出番でした。
そして、その後も映画は延々と継続し、とりあえず最後まで貧血で倒れることなく見終わることだけが、我々に残された使命だった。
そして、またしても私の左後方部の座席にセルゲイがいた!
しかも今回はA4のレポート用紙と筆記用具を持参し、何かしきりにメモっていた。
暗号か?乱数表か何かか?
それとも彼は「ウクライナ・ポスト」の記者で、ここ数日間の行動は取材の一貫だったのか?
私は自分一人だけであったり、友人何人かと一緒であったりと、バリエーションを変えて映画を観に来ているが、セルゲイはいつも一人で、しかも私の左後方部席を陣取るから、その行動が不気味であり、生命の危険すら感じるのである。
だって、砂漠の少数民族・ベドウィン族には「3回会ったら殺せ」という厳しい掟があることをご存じですか?
砂漠を移動しながら生活するベドウィン族の集団は、他の集団と広い砂漠の中でバッタリ遭遇することはほとんどないんだって。
でも、まあたまには他の集団とすれ違う様なこともあるだろう…と。
その同じ集団と、もう一度再会してしまう様なことがあっても、まあ、それは単なる偶然かもしれない…と。
しかし、3度めに同じ集団と出会ったとしたら、広い砂漠に於いて、もはやそれは偶然ではあり得ない!相手が自分たちをつけ狙っているからこそ、3度も会うわけだ!だから、殺される前に殺さなければいけない!…という教えがあって、3度めに出会った相手とは“殺し合い”を繰り広げなければならないのだ。どうよ、どうよ、どうよ?!
私とセルゲイはもう既に3度以上、出会ってしまっているではないか?!
しかしながら、ここは砂漠でもなんでもない上に、我々はベドウィン族ではなかったので、なんとか“殺し合い”だけは回避できた様である。危ないところであった…。ふう〜、映画を観るのも命賭けである。。
<その1>
リー先生の華麗なるダンス・テクニックと、その際の口元(唇の動き)
<その2>
オードリー・ヘップバーン、しからずんば、グレース・ケリーの様に美形なヒロインの、あまりにもみっともない服装のセンス。>川口浩探検隊の様な帽子+レースびらびらブラウス+お尻の大きさを強調するピッタリしたもんぺズボン、しかもポケットの部分が木の葉の形をしているもの+乗馬用の長靴。その長靴の中に、もんぺズボンのすそを全部入れこんでいるもの。
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