【リーと高僧の問答】

これまで日本版(=アメリカ劇場公開版)ではカットされ、香港版でのみ見る事の出来たリーと高僧の問答のシーンが「特別編」で漸く陽の目を見ました。このシーンの会話をアメリカ版特別編ビデオをもとに採録してみました。

リー: Teacher. 師よ
高僧: I see your talents have gone beyond the mere physical level. おまえの才能は技の域を越えたようだ。
  Your skills are now at the point of spiritual insight. お前の技は心的洞察の域にある。
  I have several Questions. What is the highest technique you hope to achieve? 私の問いに答えるがよい。お前の理想とする最高の技とは何か?
リー: To have no technique. 技を持たぬ事です。
高僧: Very good. What are your thoughts when facing an opponent? よろしい。もし敵を眼前にした時はお前はどう考えるか?
リー: There is no opponent. 敵などは存在しません。
高僧: And why is that? それは何故か?
リー: Because the word "I" does not exist. なぜなら”私”という言葉自体存在しないからです。
高僧: So.. Continue. うむ、続けなさい。
リー: A good fight should to be like a small play. 良い戦いは小試合の様であるべきです。
  But, played seriously. しかしそれは真剣なものでなければなりません。
  A good martial artist does not become tense. But ready. 優れた武術家は気を張り詰めることなく、しかし用意が出来ていて、
  Not thinking, yet not dreaming. ready for whatever may come. 考えるたり想像したりする事なく、起こりうる何事に対しても準備が出来ている。
  When the opponet expand, I contract, 相手が押せば私は引き、
  When he contracts, I expand. 相手が引く時は押す。
  And when there is an opportunity... そしてチャンスが到来した時、
  I do not hit. 私が打つのではなく、
  "It" hit all by itself. ”それ”(※拳の事)が自ら打つのです。
高僧: Now, You must remember. The enemy has only images and illusions, 心に刻んでおきなさい。敵とは幻影にしか過ぎぬ。
  behind which he hides his true motives. 真の敵はその後ろに姿を隠しているのだ。
  Destroy the image, and you will break the enemy. 幻影を消し去った時、敵を倒す事が出来るのだ。
  The "it" that you refer to is a powerful weapon easily misused by the martial artist who deserves his flaws. お前の言う”それ”は、常に道を誤った武術家に強力な武器として誤用されがちだ。
  For centuries now, the code of the shaolin temple has been preserved. 古来、少林寺は法典を守ってきた。
  Remember. The Honor of our brotherhood has been held true. 忘れるな、我々の名誉は真実の物であった。
  Tell me now the Shaolin commandment number 13. 少林寺の戒律第13条を言ってみるがよい。
リー: The martial artist has to take responsibility for himself and to accept the consequences of his own doing. ”武術家は自己に絶対的な責任を持たねばならず、自分の言動の結果から逃げてはならない。”
高僧: I'm ashamed to tell you now. Among all the shaolin men I have taught, there is one who has turned the ways of knowledge and strength to his own base ends. 恥を忍んで言おう。私が教えを授けた者の中に、その武術を自己の欲望の為に悪用する者がいる。
  He has perverted all we hold sacred. His name is han. やつは我々が神聖とする物を見誤った。ハンという名の者だ。
  In defiance of all our beliefs. 悉く我らの信条に反している。
  He has brought disgrace to the Shaolin temple. やつは少林寺の名を汚したのだ。
  It is now for you to reclaim our lost honor. 今こそお前には失われた我々の名誉を挽回して貰いたいのだ。
リー: Yes. I understand. はい、判りました。
高僧: There is a man here. You will go to him. ある者が来ている。その男の元に行くがよい。

こうして高僧に促されてブレイス・ウエイトと会うことになるリーですが、この高僧とリーの会話は少林寺の師弟の会話という形を取りながら(実際は少林寺とは無関係な)ブルース・リーの提唱する”截拳道”のありかたが語られているのが興味深いですね。

ところで、「特別編」(近々日本でもビデオが発売されると思います)で復元されたこのシーンはリーのセリフ部分は残念な事に他の人(ジョン・リトルとか)が吹き替えていますが、この音源は録音しなかったのか失われたのでしょうか。
しかし、この会話、ブルース・リー本人の声で聞いた覚えがある見た覚えがある、という方もいらっしゃると思います。
そう、以前東宝レコードから発売された事のあるレコード「マイ・ウェイ・オブ・カンフー」(アルバム YX-7049 79.6.25/シングル YT-4038 79.6.1)にブルース・リー本人の肉声によるこのシーンのセリフが収録されているんですね。当時雑誌「ロードショー」の付録でダイジェスト版としてこのシーンのセリフがソノシートで出たりもしました。この時の解説では”香港ゴールデンハーベストが保存していたもので録音日時は不明だが「グリーン・ホーネット」の頃に録音されたものらしい”なんてされてましたが、実は「燃えよドラゴン」の未使用音源だったんですね(^_^;)。
また現在発売中であるビデオ「最強格闘技ジークンドー」にもこのシーンがブルース・リー本人の声により収録されています。
まさに決定版となるべき「特別編」でこのリーの肉声が復元されなかったのはちょっと残念でしょうか。


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Last Modified 5,Jul.1998 takeboh@takeboh.com